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家を食われてたまるか

 田植えがすむのを見計らったように、「お宅はシロアリ大丈夫ですか」と飛び込みのセールスがあった。実は大丈夫ではない。少し前、大黒柱に食われた跡があるのを見つけていたのだ。築100年も経つかという古い家だから、気になっていた。
 シロアリ駆除の勧誘には、うさんくさいのが多いのは知っている。調査と称して床下にもぐり込み、あらかじめポケットに隠しておいたシロアリをつかみ出して「やっぱりいました!」という悪質な例も聞いたことがある。そこでセールスマンにはいろいろ問いただし、信用度を確かめてから調査を頼んだ。
 その日のうちに2人の調査員が来て、家の周囲に転がっている木切れの1枚1枚までひっくり返して調べた。7年前の家の改修時に残った廃材を軒下に積んであったが、そこがシロアリの巣になっていた。木切れを石の上でたたくと、淡黄色の米粒ほどの虫が塊になって落ちてきた。「ヤマトシロアリです」と言う。
 畳を上げ床板をはがし、床下にももぐってくれた。撮影して見せてくれた写真には、土台部分のあちこちに食われた跡があった。放っておくと家が崩れてしまう。今は環境に配慮した薬剤を使っているという説明もあったので、迷わず駆除を頼んだ。
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 翌朝、近所の目を引くものものしい現場になった。業者が作業車3台を連ねて現れ、床下の隅々まで木部と地中に薬剤を注入した。化粧石を敷き詰めた8畳ほどの土間も、目地のあちこちに穴を開けて地中に薬剤を注ぎ込む徹底ぶり。終わったのは夜の8時半だった。
 北側の床下はシロアリとカビ好みの湿気が多いというので、太陽光で動く送風機を3カ所に設置してもらった。駆除代と同じくらいの出費になった。
 この家の大敵はもともと、いつか必ず起こるという東海地震だった。耐震工事を考えていたところに、予定外のシロアリ退治。家は食われずにすみそうだが、耐震工事の資金を食われてしまって、古家に住む不安は解消しないままだ。

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by kousyuu-hannoujin | 2010-06-20 20:30 | 2010年 上半期
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