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寒中にサトイモを掘る

 雪が降ったりポカポカ陽気になったり、2月に入って妙な天候が続いたが、梅の花は敏感に春の足音を聞き取っているようだった。そろそろサトイモを掘らなければ、と思い立った。

寒中にサトイモを掘る_a0144738_2272199.jpg サトイモの収穫といえば普通は秋。私の畑でも半分は昨年11月に掘り出している。しかし残りの半分は周りの畑から教わって保存しておいたのだ。 
 その方法は茎を根元から刈り取り、畝にワラ束をかぶせ、さらにその上からビニールで覆う。こうすると畑に植わったままで冬を越せる、と聞いた。
 確立された農業技術体系にあるのかどうかは知らないが、長年地元で伝承されたやり方は信頼できる。だが念のため、図書館で園芸書を開いてみた。
 その解説によると、サトイモは熱帯アジアの原産で、寒さには弱いらしい。それでも12月に土をかぶせるかモミ殻などをかけ、イモ部分を摂氏6度以上にしておけば腐らず、畑で越冬させることができるそうだ。やはり地元のやり方は理にかなっていた。
 ただ、掘り出したイモは残念ながら出来が悪かった。子イモが小さいし、少ない。昨年夏、雨が降らなかったせいだ。園芸書にも「乾燥には極めて弱い」として、生長には肥料より水が大切、と書いてある。
 水利の悪い私の畑では水やりは大仕事。上の川から大汗をかいて運んだバケツ10杯の水を畝の間にまいたこともあるが、文字通り焼け石に水だった。
 それにしても、サトイモは地味な作物だ。日本に渡来したのは縄文から弥生時代と言われ、昔はかなりの存在感があったようだが、明治以降のジャガイモの普及に押され、食文化も変わって影が薄くなった。
 資料によれば、年間1人当たりの消費量は明治末で24.6kg、昭和初年は20.3kg、戦後の復興期には5.3kgに激減したそうだ。
 それでも正月料理を始め和風料理にはサトイモが似合う。姿と味にどこか懐かしさを感じるのは、日本人との付き合いが稲より長いせいかも知れない。

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by kousyuu-hannoujin | 2010-02-19 22:15 | 2010年 上半期
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